映画『あゝ、荒野 前編・後編』ネタバレあり感想・考察。建二の死や気になった点を考察!

ずっと見たかったけどやっと見れた。
グロいの苦手なんでこういうのは家で見ています・・。

ボクシングのシーンは許容シーンでしたが登場人物の1人が自殺するシーンがあってそこでは目を覆った。

まず最初に言っておきますが、控えめに言ってもいい映画だった。
星4.5つけれます。

映画『あゝ、荒野』とは

寺山修司の長編小説を『二重生活』の岸善幸監督、菅田将暉とヤン・イクチュン主演で映画化。
2017年10月7日に前編、10月21日に後編が公開された。

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スッタフ・キャスト

監督 – 岸善幸
脚本 – 港岳彦・岸善幸
音楽 – 岩代太郎
BRAHMAN – 『今夜』

沢村新次(新宿新次) – 菅田将暉
二木建二(バリカン健二) – ヤン・イクチュン
芳子 – 木下あかり
片目(堀口) – ユースケ・サンタマリア
馬場 – でんでん
二木建夫 – モロ師岡
君塚京子 – 木村多江
宮木太一 – 高橋和也
山本裕二 – 山田裕貴
劉輝 – 小林且弥
二代目(石井) – 川口覚
川崎敬三(自殺抑止研究会会長) – 前原滉
恵子 – 今野杏南
福島 – 山中崇
マコト – 萩原利久
為永猛 – 松浦慎一郎
まり(為永の妹) – 山田杏奈
オルフェ(バー楕円のマスター) – 鈴木卓爾
曽根セツ(芳子の母親) – 河井青葉
神山(新次の対戦相手) – 大内田悠平
檜垣(新次の昔の仲間) – 井之脇海
真熊 – 山本浩司

 

映画『あゝ、荒野』あらすじ

荒野ーーそこは荒れ果てた地か。希望に満ちた場所なのか。
これは、二人の男の運命の物語。

ふとしたきっかけで出会った新次とバリカン。
見た目も性格も対照的、だがともに孤独な二人は、ジムのトレーナー・片目とプロボクサーを目指す。
おたがいを想う深い絆と友情を育み、それぞれが愛を見つけ、自分を変えようと成長していく彼らは、
やがて逃れることのできないある宿命に直面する。

幼い新次を捨てた母、バリカンに捨てられた父、過去を捨て新次を愛する芳子、
社会を救おうとデモを繰り広げる大学生たち・・・

2021年、ネオンの荒野・新宿で、もがきながらも心の空白を埋めようと生きる二人の男の絆と、
彼らを取り巻く人々との人間模様を描く、せつなくも苛烈な刹那の青春物語。
(公式ホームページ引用 http://kouya-film.jp/)

 

映画『あゝ、荒野』感想・考察

正直、同監督の『二重生活』はそこまで好きではなかった。
しかし本作『あゝ、荒野』はかなり好きな部類。
世界観、ストーリー、演出、映像、演技すべて好きだった。
高評価なのも頷けました。

ですが「ん?」と思う部分もあった。
そう言った部分も含めて考察していこうと思います。

前編、後編見終えたあとの感想になりますので未視聴の方はネタバレご注意ください。

時代設定が謎すぎる

映画が始まってからしばらく、雰囲気から『昭和の話』だと思っていました。
なので劇中でスマホやネットを使っているのを見て驚いた。
この作品が『2021年の物語』と言うことは調べないと分かりませんでした。

近未来感が全くなくむしろ『昭和の泥臭さ』を感じた。
まさか未来の話だったとは。

原作は昭和の話である。なぜ、わざわざ未来の話にしたのかが謎でした。
無理に昭和にしたくないのら映画が公開された現代でもいいと思うんだけど・・・。

ボクシングを通しての新次と健二の物語であると思っているので、凝った時代背景などいらなかったのではないかと思う。

ですがこの映画の世界観は好きです。
時代錯誤ではあるが『昭和の泥臭さ』を感じる雰囲気はなんとも言えない懐かしい気分になった。

ストーリーについて

新次と建二に加え彼らの周りの人物のバックグラウンドも濃く、そして繋がっていてなかなか凝っている脚本であると思えました。

対照的な性格の新次と建二が同じボクシングジムに入り共に切磋琢磨する前編と
打って変わってそんな2人が対峙することになった後編。

全編合わせて5時間の超編映画でしたが、超大作だったと思います。

新次と建二の関係性や、2人共のバックグラウンドもしっかりして見応えのある5時間だった。

ストーリーの1部を私のコメント付きで紹介。

見た目も性格も対照的、だがともに孤独な二人。
新次と建二の対比が素晴らしくて脚本の素晴らしさを感じました。

新次は、かつての仲間で現・ボクサーの山本裕二 (山田裕貴)の裏切りで少年院に入っていた。
吃音と赤面症に苦しむ建二は、あるとき新次と共に片目こと堀口(ユースケ・サンタマリア)からボクシングジムに誘われる。

成瀬
このことをきっかけに2人は片目のジムに所属し、ボクシングのトレーニングを始めます。
新次は恨んでいる裕二を殺すために。建二は自分を変えるために。

どんどんボクシングの腕をあげる新次に比べて、建二はなかなか芽が出ず、コーチの馬場(でんでん)に怒られる毎日でした。
建二は「新次みたいになりたい」と新次の強さに羨望していた部分すらあった。しかし新次は「無理だよ。俺は俺。兄貴は兄貴だもん。違う道走ってんだぜ」と。
その上、健二の父親は新次の父親を自殺に追い込んだ張本人であり、言わば宿敵であった。

成瀬
ここまでは予想の範疇であり、もどかしい2人の対比を見れて切ないカタルシスを味わえた。
しかしここからが更に面白いところ。

建二はボクシングジムを移籍。新次と離れて、メキメキと腕を上げていく。
一方、裕二との試合に勝った新次は、健二だけではなく、所属ジムが倒産、芳子も姿を消し、抜け殻のようにネットカフェでバイトをしていた。

成瀬
まさか芳子までいなくなるとは思わなかった。
あしたのジョーではないが、ライバルである裕二を倒した直後で憔悴しているだろう時に親友の健二が去り、恋人が去り、ジムまで倒産ときたら・・不幸の立て続けで胸が苦しい

建二は新次と戦うことを望んでおり、ジムが潰れる前に新次と試合をすることに。

成瀬
このラストシーン。素晴らしかった。2人の思い、全てがこもったデッドヒート。
拳を交えることで語り合えることがあるって本当なんだと思えた。
とりあえず新次にとっての力石は裕二ではなく建二だったんですね。

建二は死んだのか?

健二の「僕はとうとう憎むことができなかった。でも新次と戦ってる」「僕はここにいる。だから愛して欲しい」というモノローグ・・涙出そうになりました・・。

このラストシーンで健二の心情は描写されていますが、新次の思いは描かれていない。

新次は健二をジムを捨てた裏切り者だと恨んでいたのだろうか?
新次はかつてボクシングのことを「殴りあうだけなんだよ。憎んで勝って。憎んで憎んでまた憎んで勝って俺はチャンピオンになる」と言っていたこともあるし、堀口の「あいつは裏切り者だ」という助言もあり多少の恨みはあったかと思います。
だけどわたしは完璧に健二を恨んでいるとは思いたくない。

「アニキ!立てよ!」と健二を立たせた新次は彼を恨んでいた、殺そうとしたのではなく、新次と戦いたいと思う健二の気持ちを汲んだ。彼を認めたのではないかと思いました。
全て願望ですけど。

そしてラストシーンの死亡診断書。
『二木建』まで書かれたところしか写っていません。
健二の父親の名前は二木建夫。

試合を見にきていた父親は病気で、観戦しながら生き絶えそうであった。死亡診断書は健二ではなく父親の可能性もある。
この視聴者の解釈に任せる演出が素晴らしすぎでした。寂寥感が一層際立った。

ちなみにわたしは健二が亡くなったのではないかと予想しています。

自殺抑止研究会の部分は必要だったのか?

ストーリーの部分で、はてなマークがついたのが『自殺抑止研究会』の話である。
健二の父親が関わったり、やがて健二と関係する恵子もここで登場するが、『自殺抑止研究会』の活動をこの映画で掘り下げる必要性を感じなかった。
そして何より人前で自殺してしまう会長の絵図が恐怖でした・・。

この映画で感動したのはすべてボクシングのシーンであったので『自殺抑止研究会』はいらない気がしました。

なぜ、芳子は消えたのか

なぜ芳子が新次の前から姿を消したのかイマイチ分かりませんでした。

物語の軸は新次と健二であり、ボクシングを通じての2人がメインである。
芳子はストーリー上で、前半では新次に希望を与え、後半では彼を孤独にするためだけの道具だったのだろうか・・・。

他にも新次の母・京子や芳子の母・セツ、恵子たちの心情もほとんど描かれていない。
境遇や思いをちょこっと吐露するシーンはあるものの扱いの雑さを感じた。そのくせ『自殺抑止研究会』や社会を救おうとデモを繰り広げる大学生たちはちょいちょい出てくる。

しかし裏を返せば、はっきりしない物語ではなく、はっきりさせない物語である。
心情描写は新次や健二だって多い訳ではないので、芳子のことがイマイチ分からないのは私の読み取る力が乏しいのかもしれないですね。

菅田将暉、ヤン・イクチュンの演技が素晴らしすぎる

主演の菅田将暉さん、ヤン・イクチュンさんの演技なしではこの映画は語れない。

菅田将暉さんはこの映画でアカデミー賞の最優秀主演映画男優賞を受賞しています。
納得。前編のラストでは鳥肌が立つほどの演技を見せてもらった。

ヤン・イクチュンさんの演技もすごかった。
吃音症で赤面症という難しい役どころをこなせる演技力すごい・・・。

あと裕二役の山田裕貴くんもすごかったし
ベッドシーンまで体当たりで演じた木下あかり、今野杏南も逸材でした。

 

まとめ

世界観、ストーリー、演出、映像、演技の全てがよかったです。
ストーリーは意味がわからない部分もありましたが、裏を返せばそこもいいところだと言えるような内容でした。

とりあえず菅田将暉を好きな人よりも、嫌いな人にこれ見て欲しい。演技力に脱帽した。
今まで顔があんまり好きじゃないという理由で彼の映画はそんなに見たことなかったんですけど、『生きてるだけで、愛』で菅田将暉さんの逸材さに気づき、最近彼の映画ばっか見てる。

間違いなく、菅田将暉、ヤン・イクチュン共に代表作になる映画だと思います。

評価 ★★★★⭐︎(星5つ中4つ)