公開初日に満席で観れなかったため、諦めていたグリーンブック見てきたので、感想を書いておこうと思います。
率直に言うとめちゃくちゃいい映画だった。
人種差別を取り扱っている難しい映画だと思って敬遠している人にも是非見て欲しい映画でした!
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映画『グリーンブック』の概要
アメリカ合衆国にて2018年11月16日にて公開された伝記コメディ映画。
日本では2019年3月1日に公開された。
ピアニストであるドン”ドクター”シャーリーと、その運転手兼ボディガードを務めたトニー・ヴァレロンガによって1962年に実際に行われたアメリカ最南部を回るコンサートツアーを元に製作された映画である。
第91回アカデミー賞では作品賞など三部門で受賞。
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スタッフ・キャスト
監督 – ピーター・ファレリー
脚本 – ニック・バレロンガ、ブライアン・ヘインズ・クリー、ピーター・ファレリー
トニー・“リップ”・バレロンガ – ヴィゴ・モーテンセン
ドクター・ドナルド・シャーリー – マハーシャラ・アリ
ドロレス・バレロンガ – リンダ・カーデリーニ
オレグ – ディメター・マリノフ
ジョージ – マイク・ハットン
アミット – イクバル・セバ
ジョニー・ヴェネス – セバスティアン・マニスカルコ
ボビー・ライデル – ファン・ルイス
プロデューサー – P・J・バーン
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『グリーンブック』あらすじ
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。
(公式ホームページ引用 https://gaga.ne.jp/greenbook/about.html)
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『グリーンブック』ネタバレなしレビュー
まずはネタバレなしでレビューを書いておきます。
観に行くか迷っている人は参考にしてください。
第91回アカデミー賞作品賞受賞作品と聞いて、お堅い映画なのかと、構えて見にいきましたが、分かりやすい映画でした。
人種差別を題材にしているからとか、難しそうだからと敬遠している人にも物怖じせずに見て欲しい。
メガホンを取ったピーター・ファレリー監督は『メリーに首ったけ』や『ライラにお手あげ』などのコメディー映画で有名な監督。
そのため、笑える要素もあって、楽しんで見ることができました。
展開は王道ではあるけど、主演二人の喜怒哀楽や葛藤する姿の演技が素晴らしくて、そこまで既視感は感じなかった。
わたしは無知が故に当時のアメリカの様子など詳しく知りませんでしたが、そんなわたしでも理解できる内容だったので、分かりやすさで言えば見る人を選ばない映画であると言えます。娯楽映画を好む層でも楽しめるんじゃないかと思う。
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『グリーンブック』ネタバレ感想と考察
以下、鑑賞後の感想になります。
映画の内容についても書いているので、ネタバレにはご注意ください。
まず、第一声で言えるのが、最高のバディーロードムービー。
トニーとドクのやり取りはずっと見ていたいほどだった。
黒人ピアニストであるドクが置かれている状況が特別なこともあり、ドクの孤独は計り知れないものだと思う。
白人から差別を受け、レストランで食事をすることも許されない。同じパーティーに参加しているのに室内のトイレを使うことも許されなかった。かといって黒人からは異質の存在として見られる。
そんな誰からも理解されない孤独を抱えていたドクが、トニーに気持ちを吐露するシーンでは胸が痛んだ。そして泣いた。
それからトニーとドクは徐々に互いを理解し、認め合っていくんだけど、2人の絆が深まっていく姿には、胸が温まったし、理解しあえる存在の尊さを感じた。
わたしはこんないい友情を誰かと築いたことはないので、正直、2人の関係は羨ましい。
それほどまでにトニーとドクは最高なバディーでした。
やっぱ一緒に旅するって絆を深める定番なのかもですね!
たった1人でも理解し合える人がいることの素晴らしさを感じた映画でした。
コメディー要素でほっこり
黒人差別のシーンなど、見ていて胸が痛む場面もありますが、トニーとドクのやり取りは、見ていて微笑ましいシーンがたくさんありました。
さすがコメディー映画監督ピーター・ファレリー!
トニーとドクがケンタッキーを食べるシーン。この映画を見た人は、きっと誰もが笑ったことでしょう。
初めてケンタッキーを食べるというドクに、トニーが食べ方を教えるのですが、食べ終わった後の骨は車の窓から外へ放り投げる。それに倣うドク。続いて、飲んでいたジュースのゴミも放り投げる。急に真顔に戻るドク。
アメリカンジョークが通じないことの多いわたしでも、これには頬が緩んだ。
他にも2人のやり取りには何度ほっこりしたことか。ずっと見てたかった😌
正反対な2人ほど相性はいい
トニーはガサツで口が上手くて悪賢い。
ドクは高尚な天才ピアニストなだけあって感性が豊かで繊細。
正反対だけど、相性抜群だと思う。
絵に描いたように正反対な2人ですけど、この映画、実話を元に作られてるそうです。
実際の2人の性格などは詳しくは知りませんが、脚本には実際のトニーの息子・ファレリー、ニック・バレロンガも携わっています。
創作色濃い設定だけども、現実でも正反対の2人である方が案外上手くいくんじゃないのかな、なんて思ってます。
(実際のトニーとドクのことはどうだか分からないですけどね。ドン”ドクター”シャーリーの遺族が事実とは違うとコメントしてる記事も目にしたし…)
ラストシーンには涙
ラストでは、トニーはクリスマスまでに家族と過ごしたいがために、雪の中急いで運転し、NYへ戻ります。
しかし途中で睡魔に襲われ、トニーは仮眠。
このままではクリスマスパーティーに間に合わないと、ドクが代わりに運転をして、トニーを家まで送り届けます。
トニーは、ドクをクリスマスパーティーに誘いますが、ドクは断りました。
ドクはカーネギーホールの上の階にある自宅にもどります。使用人(?らしき男)が迎えてくれるも、クリスマスなので家族と過ごすように帰し、ドクはひとりぼっちに……。
一方、トニーは長旅からの帰りに家族から歓迎されていました。
トニーの家族(ドロレス以外)は人種差別主義者で、ドクとの旅をからかってきます。
そんな彼らにトニーは「そんな言い方はやめろ」言い放ちます。
しばらくして、ドクがトニーの家にやってくる。
はじめは驚くトニーの家族でしたが、歓迎します。
初めてドクと対面したドロレスは、彼にハグし「手紙をありがとう」と。
ドロレスは、トニーが旅の間に送ってきた素晴らしい手紙は、ドクが考えていたものだとお見通しだったようです。
このドロレスには感服だった。
冒頭からまともな人だなとは思ってたけど、綺麗だし、いい奥さんすぎて、最高の結末だった。
批判があるのも頷ける
ここまでいいことしか書いていませんが、この映画が一部の層からは批判を集めている側面があるのも分かる。
所謂『白人の救世主』の描写や、黒人にとって大きな心の傷であろう人種差別問題を白人の監督が映画化することを快く思わない人がいるのは仕方のないことだと思う。
そういった、この映画を快く思っていない人たちには、
『グリーンブック』の内容は至極分かりやすくて、無知な人間(わたしのこと)でも理解できる内容であり、より多くの人に黒人差別や人種差別問題を考えさせるキッカケになったと考えてもらいたい。
『グリーンブック』が批判されている理由の1つには、1960年代のアメリカ南部での差別の実態を考えるとこの作品の描写はソフトすぎるということがあるようで、無知なわたしからすれば「これでソフトなのか」と衝撃を覚えた。
とりあえず、いきなりハードでお堅い映画を見るより、ユーモア溢れるソフトな映画から見て勉強させてもらいたい……。
ともあれ、わたしはこの映画に感銘を受けて人種差別についてもっと勉強して考えるべきだと思ったわけです。
映画を見終えて、いろいろ調べたしもっとこの手の映画を見てみようとも思った。
『グリーンブック』のアカデミー賞作品賞受賞の際、批判をしていたスパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』も見にいくよ!👍
ゲイの描写の必要性
ドクが白人の男性と裸で拘束されている場面で、ドクがゲイであることが分かりましたが、わざわざLGBT問題まで組み込む必要はあったのだろうか。
確かに「今夜だけは誰にも知られたくなかった」というドクのセリフは、彼の孤独をより際立たせた言葉であったけど、これ、伝記映画だよね。実際のシャーリーさんも誰にも知られたくなかったことかもよ。ゲイと公表しているならまだしも、カミングアウトしていない訳だし…。ここら辺はちょっと疑問であった。
まとめ
評価 ★★★★☆(星5つ中4つ)
今年見た映画の中で1番感銘を受けました。
題材的に賛否両論は頷けるけど、わたしはこの映画、好き。
絵に描いたような正反対な2人が共に旅をして絆を深めるという、よくある設定だけども、あらすじや設定を読んだだけでは伝わらない素晴らしさが、この映画にはあった。
トニーがドクと関わることで考えを改めていく姿や、ドクの孤独な苦しみは見ていてひしひしと伝わってきて、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの演技には感服でした。
『ドライビング Miss デイジー』や『最強のふたり』などが好きな人なら間違いなくこの映画も好きだと思う。
まあ、上記以外にも似ている設定の映画はたくさんあるし、こういう設定自体が好きってもあるけど、わたしはトニーとドク、この2人が大好き。2人とこの映画に出会えてよかった。