映画【人魚の眠る家】ネタバレあり感想・考察。今年1番泣ける映画。「娘を殺したのは私でしょうか。」

 

『人魚の眠る家』の試写会行ってきました!

「娘を殺したのは私でしょうか。」
と言うキャッチコピーが気になっていましたが見終わって納得しました。

脳死という重いテーマが題材で、作中では度々議論を繰り広げるのですがどの登場人物に感情移入するかで感想は変わってくると思います。
とりあえず私はめちゃくちゃ泣いた。

涙もろい人は、感情移入さえできれば終始泣ける映画だと思います。

この記事では映画をまだ見ていない人のためにネタバレなしの感想と、映画を見終えた後の人のためのネタバレあり感想を書いています。
ネタバレを見たくない方は目次からネタバレなしの感想のみ読んでください。

映画【人魚の眠る家】とは?

東野圭吾のベストセラー「人魚の眠る家」を実写映画化。
監督は「トリックシリーズ」「SPECシリーズ」「イニシエーション・ラブ」「天空の蜂」などの堤幸彦
2018年11月16日公開。

 

スッタフ・キャスト

原作 –東野圭吾『人魚の眠る家』
監督 –堤幸彦
脚本 –篠崎絵里子
主題歌 –絢香『あいことば』

キャスト
播磨薫子 –篠原涼子
播磨和昌 –西島秀俊
星野祐也 –坂口健太郎
川嶋真緒 –川栄李奈
美晴 –山口紗弥加
千鶴子 –松坂慶子
播磨多津朗 –田中泯
進藤 –田中哲司
播磨瑞穂 –稲垣来泉
播磨生人 –斎藤汰鷹
若葉 –荒川梨杏

あらすじ

2人の子どもを持つ播磨薫子とIT機器メーカーを経営する夫・和昌は現在別居中で、娘の小学校受験が終わったら離婚することになっていた。そんなある日、娘の瑞穂がプールで溺れ、意識不明の状態に陥ってしまう。
回復の見込みがないと診断され、深く眠り続ける娘を生かし続けるか、死を受け入れるか。究極の選択を迫られた夫婦はある決断を下すが、そのことが次第に運命の歯車を狂わせていく。それは果たして愛なのか、それとも親のエゴなのか。

映画【人魚の眠る家】感想・考察

それではネタバレなし感想とネタバレありの感想を書いて行こうと思います。

ネタバレなし感想・考察

脳死という重いテーマを扱った映画なので、賛否は別れそう。
こういう答えの出ない題材の作品は自分と1番近い意見の登場人物に感情移入して見ることが多いと思います。
主人公の薫子(篠原涼子)と意見が合わなければ非常にイライラするでしょうし、見る人によって評価の割れる映画かと思われます。

私は薫子に感情移入できたので涙が止まらなかったですね。
常に泣いてました。

東野圭吾さん原作映画なのでミステリー要素があるのかと思いましたが、ほぼないに等しいのでミステリーを期待している人にはおすすめはできないです。ちなみに原作はヒューマンミステリー小説に分類されるようです。

私はとても涙もろいので泣けたのかもしれませんが、「気づけば涙が。」という感じで泣ける映画なのでお涙頂戴物が苦手な人でも泣ける映画かもしれません。

見る人によって意見や感想が正反対にもなりうる重いテーマを扱っていることもあり、見応えのある映画です。見ていて退屈ということはないので気になる人はまず劇場に見にいってみてください。

以下全文ネタバレを含みますので、映画未視聴の方は注意してください。

ネタバレあり感想・考察

久々にこんな泣きました。
私が涙もろいのもありますが今年見た映画で1番泣いた。

4回以上泣いたし、コーヒーが冷めないうちにより泣きました。

ただただ全員かわいそう

溺れて脳死状態になった娘の瑞穂ちゃんはもちろん母親の薫子、父親の和昌、弟の生人。
家族は全員かわいそうでした。
特に幼い弟は物心つく前から母親が姉に付きっきりでその上小学校で陰口も叩かれるしかわいそすぎる。
誰が悪いわけでもないので同情しかなかったです。

そして瑞穂が溺れた日にプールに連れて行った薫子の母親の千鶴子(松坂慶子)もかわいそうで。
自分のせいだと己を責めながら孫の面倒を見るシーンは涙なしでは見られなかった。

松坂慶子さんのことは朝ドラ『まんぷく』で毎日見ていて「毒親うざすぎる」としか思っていなかったので、別人のおばあちゃんになりきる演技力が素晴らしすぎて感動しました。さすが大女優。

星野(坂口健太郎)の彼女・川嶋真緒(川栄李奈)もかわいそうな人の一人である。
彼氏が社長の私用(和昌自身は開発研究にも役立つと思っている)につき合わされて全く相手をしてくれないようになり寂しい思いをしていた。
社長に頼まれてもないことまで勝手にやっているしそれで真緒を疎かにするなんてかわいそうだよ‥。(ただ真緒の、彼氏の跡つけて播磨家に行ったり、彼氏の会社の社長に連絡して会ったりする行動には個人的に引いた。)

和昌は薫子がおかしい行動を取るようになったことで「希望を持たせた自分のせい」とIT機器の技術で運動を始めたことを悔やんでいましたが
当初の和昌が提案した【瑞穂を運動させて身体を健康に保つ】ということだけやっていれば真緒もあそこまで気味悪がらなかっただろうし先代社長である父から倫理的問題も問われなかったんじゃないかと思います。

星野が狂っている件

前述したように星野さんなかなか狂ってると思う。
坂口健太郎じゃなかったらどん引きしてた。

和昌は自身が社長を務めるIT機器メーカーの社員の星野に、寝たきりの瑞穂を運動させて身体を健康に保つためのIT機器を開発してもらうことに成功。
定期的に機器を動かすために星野は播磨宅へ通うようになる。

最初のうちは足や腕を上げたり降ろしたりの簡単な運動をさせるだけでしたが、次第に口角を上げ笑顔を作る機能を作ったりとエスカレートしていきます。

和昌はそれを見て引いてるようでした。
まるで人形のような扱いで私も引いた。

みんな「薫子がおかしい」みたいな感じになってましたが、私は星野の方がおかしいと思いました。

口角上げさせたり、プレゼントを受け取らせたりなど人形のように扱うのは本人の意思を無視して人間の尊厳を破っている行為に思えるし、なぜ星野はそんな機能をつけてしまったのか。もし薫子が提案したとしても止めるべき。

薫子は実の娘が脳死状態になり精神的におかしくてもまあ仕方ないかなーとは思うけど、星野が人の道理がわからないのにはびっくりした。
研究者の血が騒いだのかな。だとしたら瑞穂のことは「生きてる」と言いつつ被験体としてか見ていないことになる。

ただ、健康を保つために運動をさせるっていうのはいいと思うし星野の研究はすごいことだと思います。脳死の人以外にも植物状態の人の手足の運動にも使えるわけだし。

世間の目が辛すぎた

こんなに世間って冷たく、人の気持ちがわからないんだな。と実感した映画でもあった。

弟の入学式に娘を車椅子に乗せ連れて行った薫子ですが、噂されたり陰口を叩かれたり、見世物になっていました。

のちに理由は明らかにされますが毎日のように外へ連れ回すのはやりすぎなので、そこをおかしいと言われるのは仕方ないです。
しかし入学式に連れて行くくらいいいじゃん。と思うのは私だけですかね?
それだけで見世物にされるって世間って冷たすぎる。
同じ母親なら『もし自分の子がそうなったら』と想像できないのかな?

泣いたシーン

4回以上泣きました。

いつの間にか泣いていた場面もあり、はっきりどこで泣いたのか思い出せないところもありますが
とりあえず泣いたシーンは

  • 瑞穂の脳死を受けいられず、薫子が「この子は生きてます」と言う場面。
  • 薫子の母・千鶴子が瑞穂を看病しながら「おばあちゃんのせいでごめんね」と謝る場面とその後の千鶴子と薫子のやり取り。
  • 和昌がドナー提供を待つ子供の親と関わるシーン。
  • 薫子の夢に瑞穂が出てきて別れを告げるシーン。

などなど。後半はずっとウルウル来てたかも。

特に薫子の夢に瑞穂が出てきて「今までありがとう。幸せだったよ」のシーンは1番泣いたし、思い出した今でも泣ける。

涙もろい人は感情移入さえすれば涙が止まらない映画だと思います。
役者の皆さんも台本を何回読んでも泣いた、と言っていたほどなので。

終わり方について

正直がっかりした。
めちゃくちゃ泣いたシーンにあげておいて、こう言うのはなんですが『夢に出てきたから』ってなんだよ、と思います。
【もう疲れた、娘を手放したい】と頭のどこかで自分が思っただけじゃないか、と思える。

「この子の心臓を止めたら私は殺人犯に問われるか。この子が生きているか死んでいるか国に決めてもらいましょう。」
「人は二度も死なない」
などと言っておきながら結局心臓を止めると決断するとは。

この最後で薫子の評価は一気に下がりました。
強い意思を持った女性かと思っていたので結局娘を心肺停止にしたのには驚き。

延命治療を行なっていても葛藤した末に臓器提供をすることに決める、ということ自体は否定はしないけど
薫子の場合「娘は生きている」と言い続けていて誰に何と言われても生きていると介護し続けるのかと思ってました。

わたしは脳死=死ということ自体に疑問を抱いているので薫子には最後まで戦って欲しかったな。

ドナーを待っている病気の子供たちがいることも知っていますが『子供の体温が感じられて寝息も聞こえる、そんな子供の心臓を取り出すなんて嫌だ』という親御さんがいても構わないと思ってます。
脳は死んでいるとしても、血の通ってる子供の身体から心臓を取り出すのが嫌な親がいてもいいと思う。
わたしは申し訳ないけど自分の子どもに臓器提供はさせたくない。
ですが決して否定してるわけではないです。薫子のことは置いておいて、葛藤して悩んだ末に臓器提供することを決めた方は立派だしすごいと思います。

こういう意見もあるので参考までにどうぞ。

世間が臓器提供=正義と思っている節があるのでこのような終わり方なのかなーと思いました。
【瑞穂は人のために動ける優しい子】という描写はあったので「瑞穂ならそれを望むと思います」という薫子の言い分も理解できるけど、それ言ったら今までやってきたことすべて親のエゴになる気がする。

『臓器提供を決断することこそ正義!』という医療ドラマも多いしちょっとそこらへん疑問。

夢に瑞穂が出てきた後に瑞穂の心臓が止まる。という終わり方なら普通に感動して終わりだったかな。

まあこれは考え方の違いですね。

ミステリー要素について

ミステリーの部分は確かにありましたが、「え?これ?」というレベルで拍子抜けしました。
正直あまり気にしていなかった真実の解明。

瑞穂が溺れた理由についてと、薫子が寝たきりの瑞穂を車椅子で連れ回していた理由。

瑞穂は一緒にプールで泳いでいた従姉妹の若葉が落としたおもちゃの指輪を拾おうとして溺れました。
そのことをずっと言わずに黙っていて「自分の代わりに瑞穂が死んだ」と思っていた若葉が物語の山場で告白するという流れ。

まあヒューマンミステリーというジャンルのミステリー展開はだいたいこのレベルですよね。

原作小説では薫子の妹で若葉の母親である美晴(山口紗弥加)サイドの心情も書かれているそうなので読んでみようと思います。
正直この映画での美晴は脇役すぎるし、感情移入するほどの出番もないし、個人的な山口紗弥加のイメージはモンテ・クリスト伯の狂った女が強くなってしまっているので‥。

薫子が寝たきりの瑞穂を車椅子で連れ回していた理由については、解き明かされた爽快感よりも安心感の方が強かったです。
精神的におかしくなったのかと思っていたのできちんと理由があったことに安心した。

 

まとめ

一言で評価を表すと、答えの出ない題材なので賛否が分かれる映画。
最終的には薫子に共感できませんでしたが、かと言って後味の悪さはなかったです。
答えの出ない問題だからこそ理解出来ない終わり方でも納得することができたのかな、と思います。

とりあえず『人魚の眠る家』の小説読むことにしました。