漫画『ちいさこの庭』ネタバレあり感想・考察。このマンガがすごい2019オンナ編8位!想像以上に泣いた・・!

 

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漫画『ちいさこの庭』とは

『坂道のアポロン』や『宝石箱』の小玉ユキが描くファンタジーオムニバス。
月刊flowersにて2017年9月号から2018年2月連載された。
このマンガがすごい2019オンナ編8位に輝いた。

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漫画『ちいさこの庭』あらすじ

“ちいさこ”と人が紡ぐ、大人のための童話 森に棲むといわれる“ちいさこ”たち。絵本好きな少女、恋愛小説家と編集者、引きこもりの男子中学生…… 生きる時代も性別も立場も違う人間たちが“ちいさこ”に出会い――? “ちいさこ”と人間の不思議な体験が詰まったファンタジックオムニバス(引用元

 

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漫画『ちいさこの庭』感想・考察

このマンガがすごい2019にランクインしたということで本屋さんで推されてたので買いました!
想像以上に感動しました。

こういうオムニバス作品はハズレも混じっていることが多いですが、どの話も面白くてどの話でも感動できた。

感想はネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。

 

ちいさことは?

このオムニバスに出てくる不思議な生き物「ちいさこ」は恋をしたことがない人間死を迎えようとしている人間にしか見えない不思議な生き物です。

なので死にかけの人間以外には必然的に恋を知らないであろう子どもに見えることが多いみたいですね。
人を好きになったことがなければ大人でも見えるようです。

見た目はその名の通り小さい人間。
ジブリのアリエッティとかドラえもんのドンジャラ村のホイみたいな感じの小人をイメージしてください。

 

秘密の庭のテン

簡単なあらすじとある空き家に引っ越してきた留奈たち4人家族。
中庭は手入れがされておらず森のようになっていて、そこには”ちいさこ”のテンが住んでいた。
しかしテンの姿はパパやママや姉の充希には見えず、留奈にしか見えなかった。ある日、留奈の両親が庭をウッドデッキにすると言い出します。
テンが住む場所がなくなると思った留奈はテンと一緒にちいさこと人間が仲良く暮らせる森「トコヨモリ」へ行こうとする・・・。

最初は留奈に感情移入して「ママ留奈の気持ちもわかってよね」とか思ってましたが、留奈を探している最中にちいさこに出会い、昔を思い出したママを見て号泣。(泣いてはいないが心は号泣)
忘れていた昔の気持ちを思い出して最終的には庭を残してくれてめでたしめでたしでした。

 

成瀬
大人になってからこそ読んでよかった話でした。

 

山の世話焼きイグナ

簡単なあらすじ編集者の新井は小説家の宮沢琴葉と山登りにきていた。
新井は仕事のために女性作家の望む「恋愛の真似ごと」をやってきたが、恋をすると見えなくなるはずの”ちいさこ”の姿は見える。つまり新井は生まれてこのかた人を好きになったことがない。
実は宮沢琴葉にもちいさこの姿は見えていて・・・・。

まず、恋愛慣れしているように見えるイケメンが実は恋をしたことがなかった。という設定がいい!
そして超絶美人でもないぽっちゃりした癒し系の女の子に惚れるところもいい!
そして、そして、恋への落ち方もよかった・・・。
おそらく宮沢さんが小説の登場人物に感情移入して泣いていた時点で既に好感度はアップだったように思えますが、幸せそうに蕎麦を食べているところを見て好きなるなんてもう遺伝子的な恋だよ・・羨ましい・・。

 

ルンダの青い石

簡単なあらすじ中学生の友貴は同級生たちとうまくいかず不登校だった。
ある日家のベランダでカラスと喧嘩をする”ちいさこ”ルンダを見つける。
ちいさこはカラスとの喧嘩で負傷したルンダを手当てし、仲良くなる。
「海を見てみたい」というルンダのために、友貴は・・・。

最後に友貴はルンダに恋をしてルンダも友貴に惹かれていたと解釈しましたが、この物語は恋とか愛とか以前に友貴の成長を描いたストーリーだと思ってます。
不登校で家から出ることも億劫だった友貴が、ルンダのために海へ行ってしかも「こんなに笑ったのいつぶりだろう 心の底から 人目も気にせずに」と言うまで笑うこともできた。
ルンダと別れた後は思い出の青い石を大切に持って、フリースクールに通うようになった。
ルンダと出会ったことで友貴の人生は変わったと思うし、確実に成長したと思う。恋をすると成長するって本当なんだと思わせてくれる話でした。

 

成瀬
この話が1番泣けたかもしれない・・・。

 

四百年の庭

簡単なあらすじ400年前。
年の離れた夫婦の平次郎とお林は”ちいさこ”の点と意気投合し一緒に住んでいた。
恋をしたことがあるはずの人間は”ちいさこ”のことは見えないはずだが、お林には点のことが見えいた。
ある日お林はたまたま幼馴染の幸松と出会って・・・・。

1番好きな話。
おそらく江戸時代のお話ですね。
最初、お林は点の姿が見えなかったので平次郎が実は悪い奴なのではと思ってましたが、めちゃくちゃいい人でした。しかもかっこいいし。
幼い頃から平次郎と一緒にいたので恋という感情を持っていなかったんですね・・。

とにかく平次郎かっこよすぎて胸キュンが止まらなかったです。
戦で片腕を亡くしていることもあり仕事も限られるので、お林を幸せにできないと、離縁を申し出て幸松と一緒になるようにと勧めます。
しかし平次郎さんはお林のことを本当は好きで、でも幸せに出来ないから葛藤していたんです。ここが胸キュンポイント!
自分の幸せより相手の幸せを願うなんて究極の愛だと思う。

一瞬、お林は幸松のことが好きなのかと思いましたが、結果的に彼はお林が平次郎を好きだと自覚するための当て馬でした・・・。
『秘密の庭のテン』に出てきたテンの名前の由来や庭に居座る理由もわかってよかった。

 

成瀬
平次郎は年の差を気にしているようだったけどオッサンっていうところが逆に萌えポイントなのにわかってないな( ´Д`)y━・~~

 

トコヨモリ

簡単なあらすじ「ちいさこ」の絵本シリーズの作家、森谷みつるは、若い頃、山登りの最中に足を踏み外して死にかけたことがある。
死にかけの人間は涙には魂が宿るということで、”ちいさこ”サイズになったみつるは、そこで出会った”ちいさこ”の王子に「どうせ死ぬなら見たことのない景色を見てから死にたい」と”ちいさこ”の住処を見せて欲しいと頼み込む・・・。

ファンタジーならではの運命の恋
みつると王子は出会うことでお互いの人生観を大きく変え、その上ずっと思い合っていた・・・これだけでお腹いっぱいなのに年老いて人生を終えようとしているみつるの元に王子様がかけつけて、人間とちいさこが共に暮らせる森『トコヨモリ』へ連れて行くなんてロマンティックすぎでしょ。
60年越しの恋が実るってだけでファンタジーの域ですが、漫画の中でしか見られない恋でいっぱい胸キュンさせてもらいました。

 

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まとめ

ファンタジー少女漫画最高でした。
大人のためのファンタジックオムニバスと聞きましたが本当にその通り。

ちいさこの存在も、「え?妖精?」とびっくりしましたが、すぐにすんなり受け入れられて物語に入り込めました。
そして5つの話全てで感動できる
どれも心にくるものがあったし、泣ける話もありました。(帯にある涙腺崩壊まではいかなかったけど)

泣ける・感動・胸キュンの揃った、さすが『このマンガがすごい2019オンナ編8位』と思える作品でした!
いや、もっと上位も狙えた気もする・・!

評価 ★★★☆☆(星5つ中3つ)